一冨士フードサービスの前身である大衆食堂「一冨士」ができたのは、いまから120年以上前。以来、社員食堂に代表される「産業食」の分野を中心に歩んできました。
そんな私たちが、産業食と同様、今後力を入れていくのは、病院、高齢者施設、幼稚園・保育所といった「医療・福祉・幼児の食」の分野。高い水準が要求される産業食での経験と技術があるからこそ、これから取り組んでいく食を、より「人にやさしい」ものへと変えていくことができると考えています。
おいしさ、早さ、バラエティの豊かさが求められる社員食堂。食事を召し上がる多くの方々を見てきて感じるのは、「人は、お腹を満たすためだけに食事をするのではない」ということ。メニューを目で見て楽しみ、会話をしながら口に運び、心を弾ませながら味覚と栄養を満たしていく。五感の全てを使って楽しむという点では、食事の時間は「毎日のちょっとしたイベント」なのかもしれません。
それは、小さなお子様にとっても、年を重ねたご高齢の方にとっても同じこと。これまで、医療・福祉・幼児の食は、滞りなく、安全に栄養摂取できることが最も重要だと考えられてきましたが、私たちは、もう一歩先を見つめ、心の豊かさ、つまり「思いやり」「真心」「文化」などを食事を通してお伝えしたいと思っています。同時に、健康寿命を伸ばす「元気になれる食」も追求します。
医療機関や福祉施設では、食事の時間が決められています。そのため、時間厳守で食事をお出しすることが求められます。しかしこれは、フードサービス企業が当然のように実践すべきこと。
私たちは、この当たり前のことを確実にクリアしながら、プラス、心のうるおいにつながる食のご提供が必要だと考えています。食事の時間が待ち遠しくなるメニュー、会話が弾むような食空間、非日常感を味わえる行事食の催し、そうした多様なアイデアを当社の全支社から集め、整理し、ご提案しています。

「お子様ランチ」に代表されるように、お子様の食は、見た目の可愛さが重視されます。幼稚園や保育所の給食にも、そうした傾向が少なからずあります。しかし、子どもの偏食や肥満が問題視されている今、もっと大切にしなければならないことがあると考えています。
それは、地域の伝統食や、アレルギー対応を充実した食をめざすこと。特に、地域でとれたものを感謝しながらいただく「地産地消」は、日本の食文化を考える上での重要なキーワードです。お子様のときから、食に込められた伝統・文化を感じていただきたい。そんな願いを込め、給食をご提供しています。

料理やサービスが同じように見えても、そこに携わる「人」によって、品質は大きく変わります。ごはんの盛り付けひとつとっても、ふっくらと盛り付けるか、無造作に盛り付けるかで、おいしさが変化します。私たちは「出来立て感」「手づくり感」にこだわることで、食事に思いやりを込めています。
「安さが一番」のデフレ時代。食事サービスを低価格にするため、人材を削減し、大幅なコストカットを行う例も見られます。しかし、人員を過剰に減らしてしまうと、決しておろそかにしてはならない「衛生」まで脅かしかねません。
私たちは、安さを追求しません。無駄をカットし、必要なところに費用を配分する「コストのバランス」を考慮することで、長期に亘って良質な食事サービスをご提供できる人材を配置しています。

体だけでなく、「心」に栄養を届けたい

栄養価を考えた食事であることはもちろん、見て、食べて、味わうことで、気持ちが華やぐメニューをこれからも開発していきます。産業食の分野で、「選んでもらえる食」を追求してきた歴史が、そのベースとなっています。
ただ楽しいだけでなく「わくわく感」を届けたい

「食事が本当に楽しい」。そう感じるのは、食べることを通じて、人のぬくもりに触れたときだと思います。楽しい食といえば、お正月の料理、クリスマスのごちそうなどですが、それにとどまらず、人と人との交流を促したり、笑顔やおしゃべりでいっぱいになる食の催しを企画します。
食はいのち。「食べる大切さ」を伝えたい

自然界の様々ないのちをいただき、生きている私たち。食事を通じて「いのちをいただいていること」をお子様に伝えていくことは、食育の大きな目的でもあります。地域とのつながり、旬の大切さ、日本の食文化を感じられる料理で、食育を充実させるお手伝いをいたします。
私たちがこれから実現していきたいこと

これから先、医療・福祉・幼児の食に積極的に携わる中で、これらの分野における様々なノウハウが蓄積されていきます。医療や福祉の分野であれば、一人ひとりの病状や疾患にきめ細かく対応した食、幼児の分野であれば、日本の豊かな食文化や地域の伝統を身近に感じられる食などです。
私たちはこれを、産業食分野に反映することで、これまでにない新しい食事サービスを考案していきたいと考えています。例えば、糖尿病向けメニュー、成人病に対応したメニューなどの「社員食堂で食べる医療食」、あるいは、地元の食文化を再び見直す「社会人向け食育メニュー」などです。
産業食で培ったノウハウを、医療・福祉・幼児の食分野に生かす。そして、医療・福祉・幼児の食分野で育てたノウハウを、産業食へと役立てる。そうした相乗効果を生み出しながら、食事サービスを無限に進化させていきます。